傷だらけになった心に絆創膏を貼った。たぶんたくさん貼った。
それでも悪い夢をみて寝返りをうつたびに、それは擦れて剥がれてった。
少しの間押し留めていられた思い出したくないことが溢れてくる。泣きそうになる。
その夢はただの想像であり妄想であり、朝になった明るい部屋でも空を見てるだけの昼間も、同じように心をぎゅっと掴んで離さない。
眠る事だけが救いだった、けど、その意味での朝は心にはきっと来ない。
明日があるとかえって苦しいと思う。

 

けど本当は。
泣きたいときに泣けたらいいなって願うことは一度も止めたことがなくて、泣くのは夜まで我慢しようと思って、そのかわり夜はたくさん泣けばいいなんて取り決めたのに、結局そんな暇もなく眠ってしまう。
望んでもいない朝が来る。
救いだと言えるものが一つだけでは生きていけないのを知っている。
それは救いと言えないかもしれない。
でも一つだけで済むなんて簡単な話なら、こんな悲しみが目に見えるわけない。

 

きっと潔癖症だから、汚い人のいる世界に放り込まれるのが嫌で、と思ったら実はもうその中にいるようで、この口からはもう二度と愛なんて吐けないと思う。
「楽になってきた気がする」と二週間前に書いたのを見つけて、同時にずっと昔の自分のことも思い出して、まだ多くのことを知らないんだと知った。
こんなに残酷な事があるなんて、それが人間にできるなんて思ってなかった。たぶん。
死にたいという言葉が行き場をなくして漏れ出てしまうことを許して欲しい。
全てを忘れてしまうまで、とても長い時間が必要だと思う。

over

ひとつのことをずうっと考え続けるなんてことは、久しぶりか、初めてだったと思う。
問題の相手のことなんて最後には関係なくなって、いつも通り自分一人の世界でわたしはわたしを殴ったり引っかいたり殺そうとしたり泣いたりして、そうしているうちに周りが本当に真っ暗になってしまって、いま自分の足が地面に床にくっついているのかどうかさえ怪しいと思い、気力も無くして倒れ込むように、その日はもう寝てしまった。
その日、をもう何度か繰り返して、ようやく落ち着いてきた、というか、そろそろ疲れてきてしまった。
現在や或いは最近の生活の中の一瞬で、過去の良い思い出をめちゃくちゃに汚してしまったような気持になることがあって、自分の考え方次第(これもそう)なのだと分かっているのにやっぱり心は歩くのを嫌がるようで、それを待つようにして道にへたりこんでいる。
人に見せない言葉が増えた。
自分は自分に対して間違いのないように気を付けてはいるけれど、誰の目にも入らない言葉(と心)は知らないうちに綺麗でなくなってしまうのかもしれないとふと思いついて、いまなんとなく思いつく言葉をカタカタと打ち込んでいる。

 

自分の内側で、誰の邪魔も支えも無いままで、強い負の感情(人間として持って当然の感情)を理屈でやり込めようとするのは、ずいぶん過酷で悲しくて孤独なんだと。
そんなこと普通ならできるわけない、と理解しつつも、それをすることだけが今できる生存の意思表示だということも承知せざるを得ない状況にいるからそうしている。
昼間の生活をしている中で、ふと思いついた名案に期待して、「悩み続けて答えを出すのは(それが形而上的な事柄なら尚更)楽しいことかも知れないなあ」なんて喜んでいた。
けれど、暗い世界の暗い部屋で独りぼっちになったときに、昼間のあれは、考慮すべき情報全体のうちほんの一部しか考えていなかったから楽になれていたんだということに気づく。
避けようの無い現実は間違いなく夜のほうにあって、やっぱり駄目なのかと落胆した。
だから昼間と今では精神状態がもうほとんど別人だ。
夜は誰も邪魔をしないし、誰も助けてくれない。
地に足がつかない宙づりの状態で、ひとりまた深みにはまって沈んでいく。
重力なのだから仕方ない、でも仕方ないで見過ごした未来はきっと真っ暗なままで、それに抗っていなきゃいけないのだと、義務感というよりはむしろサバイバルに近い。
そうしなきゃ死ぬ。
見慣れた文字にも今まで以上の悪態をついて、「冗談じゃない」と呟きながら今晩もきっと泣いている。
逃げ場、居場所、記憶、転落、人間……死にたい、寂しい、なんて言葉が血腥い光景といっしょに頭の中を飛び回って、そのうち昨日と同じように眠ってしまう。
『心からの』言葉でいつか救われたいと、想像もつかぬ未来を願っている。

 

私はよく知っているわ、その声を。

それはあなたの孤独の声よ、愛の声じゃないわ。

 

カミュ -『誤解』 マリヤ

 

cahier

人間的にどうにか変わってやろうなんて、考えている暇が無くなってきた。
ものを書く量は増えたけど、それはどれも周りと自分との話ばかりで、一人のことを思っていると、後ろめたさを感じるようになったのかもしれない。
変化は悪いことじゃないけど、何処に行けばいいか分からない。

 

 

去年の12月中頃から、日記のようなものを書き始めた。
ふつうのノートに。
やってることはここに書いていたのとさして変わらない。
だんだん、人に見てもらいたいと思わなくなってきた、その結果だった。
最初からそうしていればよかったのかもしれないけど、今となってはどうでもいいことだし、そうしたいと思ったから始めただけ。
「なんとなく」そうしたいとかしたくないとか、そういうのを大切にしようって意識は前からあった。

 

ただ、嘘つかなくなったな、ってことはよく分かる。
書いていても、読み返していても、嘘はどこにも無いように書いているみたい。
読むのが本当に自分だけなので、嘘書いても良いことが無い。
だからって今までここで嘘ばっかり書いていたわけじゃなくて、「いま本当にこう思っているのかな」といちいち考えながら書いていると、やっぱり書くのをやーめた、ということが割と多くある。

 

余りにも自分に純粋さを押し付けすぎている。
嘘の無いように、ってことは本当に救われない事ばかりで、疑ってばかりなのは気が楽じゃない。
自分にはもうその癖がついてしまったので、今更どうしようもないんだけど、自分を疑うことをまるで知らない人ってのは結構多くて、直面するたびにうんざりする。
自分に、と思うことは、僕の好きな人たちに関しても言えることで、その人たちにも悪いことが無いようにと、そればかり考えている。

 

ある特別な時間だけ、そこから逸脱してしまおうかと考えたことがある。
嘘でも虚無でも痛みでも、思いつくこと全部を抑制することなく纏めてしまおうって。
本当はそんなこと、企んでいる場合じゃないのにね。
もしかしたら、そんなことが出来るくらいの時間くらいなら作れるかもしれない。
分からないけど。

sonoato

たくさんの色を混ぜてぐちゃぐちゃにしたような、ただ気色悪い空気の中で希望を絶った日があった。
その日は雨が降っていた。
誰かが笑って、また濁った空間をかき混ぜる。
僕は泣いている。
誰にも気づかれないように隠すのも遅すぎた。
多感だったと言えばそれだけ。
誰かの、誰もが持っている棘で僕にしか分からない傷をつけた。
そんな日があった。

 

真っ白でも真っ黒でも。
今は空虚の中に立っている。
何も見えない聴こえない一人を望んでいる。
一つ間違えばズタズタになってしまう。
いつも内側から、自分が自分を壊そうとしていて、孤独ってそれを止めるだけの力が外に無いことなんじゃないか。
幻滅も諦観も、先延ばしになっていく。
命はすでに見当たらないのに生きている振舞いを強要されて。
かと言って、ちゃんと死んでしまうことも想像できない。
きっと、どうにかなったって言って笑っている自分はそこに居るかもしれない。

 

それなら、だからこそ逃げ場が無くなる。
希望を与えようとすることは、彼から言い訳と安らかな夜を奪う。
あの人たちの使う「希望」って、そういう意味なんでしょ。
心はいなくなった。

 

―――――

 

死を願うには遅すぎると分かっているし、それができるわけないことも知ってる。
きっとあの頃自分が焦っていたのは、死ぬなら今のうちだって、もうすぐ死にたくなっても死ねなくなるからって、なんとなく分かっていたからだ。
そして猶予は終わった。あっけなく。
涙顔の自分に言う
「決断できなかったよ」

 

泣いている間だけ、時間が止まってほしい。
今朝はそんなことを考えてた。
髪の毛が落ちていて、綺麗じゃない床で横になった。
崩れていた。
涙なんて出て来なかった。
寝ても覚めても同じ不安のことを考えてるなんて、健康的じゃない。
始まる一日が怖い。
夢うつつで過ぎるのは怖いけど、はっきり分かるのも怖い。
それでもどちらかを選んだ。
カフェイン、頭痛、カフェイン
とても眠い日だった。
望んだものとそうでないものの両方を、物知り顔で誰かがゴミ箱に放り投げた。
ような気持ち。

 

I need caffeine in my blood stream,
I take caffeine in the blood stream.

 

www.youtube.com

6/25

親しい誰かが死ぬ想像。自分が死ぬ想像。
そこに隠れている喜びはいつもどこかで願ってきたもので、真っ白な部屋でしかあり得ない幸福な死だけを思い浮かべて祈っていたもの。
それでも、少しの間の痛みや悲しみがそれを覆って見えなくする。
自分が死を選んだら、もう頑張らなくていいんだ、みたいに。
息が出来ない、水面からようやく顔を出した時みたいに。
死んでしまったら、ひたすら深呼吸ができたらいい。
僕が願う人なら誰でも、きっと楽になれたらいいなと思う。
それが誰のことでもいい。

 

選択をしたいと思っている。
気の準備もないまま、殺されてしまうのは残酷だことだから。
まさに殺されることと、心臓に自分の針を刺すことは区別できる。

 

それでも、
選択を逃れたいとも思っている。
責任感の吹っ飛んだ誰かがいつの時代も叫んでいるように、現実感の無い花畑を歩く想像は難しいけれど。
何かを選び取って残りを捨ててしまうことが恐ろしいと感じないことは無かった。

 

―――――

 

みんなが孤独を歌にした。
触れる物は孤独、孤独、黒いシミが伝播していく。
誰にも隣り合っていないと言う癖に、それは確実に伝わっていく。
変わってしまった僕の心は人の孤独に唾を吐いた。
何よりも強く主張しようとして手を伸ばした人を嫌った。
何も強調しないことが趣味の良さだなんて思っちゃいない。
空虚な街で新聞を読んでいるだけならそれでいい。
でもそれで、本当のものを隠してしまうのはお前たちだと。
死んだ仲間の隣で同じ格好、死んだふりをしてまで。
目印ひとつをもらうことだけに必死になって。

 

胸が詰まって動けなくなるような、悲しい話を聞く。
僕では耐えられないから、僕ではその苦痛や孤独を無意味にしてしまうだけだから、と言って目を背けた。
どうしようもないと言い放ってしまえば、自分だけ楽になれたと思う。
もし何かできることがあっても、もともとこんな不安定な地面の上で願ってたら、受け皿の見つからない幸福になり下がってしまうような気もした。
そんなものいらない、とも言えない、けど手に余ってしまう。
明け渡すほど他人に価値を見いだせない。
どうしようもないじゃないか、と息を吐いている。
「楽になれたらいいなあ」
切実な感情というものが本当に心に染み込むものであってほしいと願ってる。

短夜

0514
いつか忘れてしまうようなことを、いま確かに握っている気がする。
ずっと後になってそれが無いことに気づいて後悔するもの。
確かにここにあったことだけは、せめて思い出せるように。
ピアノの音を流しただけの夜。
いつか自分のものにしてしまいたいと願う。

 

0515
ラッキーな日は、アンラッキーを待つ日。
幸福な日は、明日はきっと良くないことが起こると理解する日だから。
それだけでもうたくさんになってしまって、幸福なんて結局分かってない。
きっと今あるものだと思うけど。

 

彼らはいつも、僕が死んでしまいたい理由だけを投げつけてくる。
分かり切ったことを大声で言って、僕は何度もそれを確認するだけ。
人に頼むくらいなら自分でやるよ。
言えないくらい情けなくて、頼めやしないだろう。

過去や未来から、優しい言葉が飛んでくる。それは自分のもの。
どれだけ気を遣って誤魔化した言葉も、自分相手では通用しない。
うそ、うそだと分かってしまう。
いつも通りの帰着点。

 

0516
虚無、通った跡に何も残らない。
勉強も頭に入らない、時間の浪費。
空っぽな日だった。
前から同じような日はあった。

 

0523
メンタルとフィジカルの解離。
身体を動かして何かしているときも、頭はまったく違うことを考えていて、その直後にはもう自分が何やってたか分からなくなってしまう。
鍵をかけたことを確認する作業を、何回か繰り返す。
いくら中身を確認しても、忘れ物を心配してしまう。
行動とそれに起因する感情、思考が伴わないと記憶から消えてしまう。

 

―――――

夜更かしは遅くても3時。
早起きは早くても5時。
AM4:00という時間が、自然に別の意味を持ち始めた。
必ず寝ている時間。

 

最近雨が多くてつらい。

 

The best is over and the worst is yet to come

 

www.youtube.com

5/10

何も考えていない時間や、そうでなくてもくだらないことを考えている時間が増えたような気がする。
大事な事を忘れっぱなしにしているみたいで、上手に考え事が進まなくなっている。
本を読んでも、活字と脳の間に変な仕切りがあって内容を上手く読み込めないし、ましていつもやってたように同時並行で思考を繋げることも出来ない。
何が原因なのか分からない。自然とか季節とか、そんなもので済めば良いと思う。

 

幻滅されてしまうことをいつもいつも怖がっていた。
いつかそういう時が来るんだろうとずっと思っていた。
でも実際、この現状が恐れていたそれだとしたら、僕は実感を掴めていない。
いつも、過去や未来のことを楽しみにしたり怖がったり悲しんだりしているのに、現実、現在には信じられないくらい無頓着だ。
だから余計な失敗をして、過去のそれをずっと心配してしまう。
自分に向けられたものではない言葉も、一瞬自分のことかと思って焦ったりもする。
もし本当に自分のことだったとしても、僕は関与しない。
つまらない人間に対するつまらない対抗心だけは残っている。