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4:00AM

”考えろ”なんて言わないから

帰着点

「現実は此処にあります。此処にあるから現実なのです。」

ある人は誇らしげに言った。

「私は誰よりも現実を見ている自信がありますからね。」

そう付け足して笑っている彼は、まさしく現実とは反対側にいた。

 

真実は見ようとしないがまた現実を知っている振りをし、

理想を決して語らないがそこに生まれる夢に何よりの希望を持っている。

それはつまりある種の理想じゃないのか?

結局は意地の悪い人間の考えることだから、裏には何らかの夢がある。

とても儚い。

 

彼は言う。

「つらいことがたくさんありました。

 誰か、僕の事を分かってくれないでしょうか。

 あなたは、どうでしょうか。」

 

「分かってあげたいとは思います。

 でも、本当に重要な、一層二層奥にある、

 割と単純な考えが分かるんですよ。それだけ。」

過去の自分に対して最低な仕打ちを繰り返す意味。

 

僕は人間だ。

自分の事が思考の大半を占めていて、

過去の自分を救おうと胸を張って”かたる”ことができても、

似たような人間を見ると不快で堪らなくなって意地悪をしたくなる。

綺麗な言葉で片づけないだけ悪い事はしてないと思う。

 

矛盾を解消するために、僕は救われようと声を出すのをやめた。

途端に馬鹿馬鹿しくなった。

けれど、やはり自分自身を貶すことは難しかった。

だって、何も悪い事してないんだからね。

 

聞いてなかったけど、彼は続けていた。

「誰かのことを分かってあげられたら、

 僕も理解を得られるんでしょうか。」

 

何も答えなければ、無言で去っていった。

哀れな背中。切ない物語のワンシーン。

 

彼は内心で、今頃は笑っているだろう。

『彼には分からない。

複雑な感情など結局誰にも伝わりはしないのだ。』

本心では、崇高な悩みで他人をも悩ませ、一人で可哀想な存在として隅に佇むのを何よりも楽しみにしている。

自分が大好きなのだ。

理解されてしまえばお終いだ。

そして僕は解けない誤解を負う。

 

そんな僕もまた彼を誤解し、自慢気にこの話を持ち出して悲しみを誘ってみる。

悪意が無くても。

 

結論の出ない堂々巡りがこの結論だ。

解決されるなんてあり得ないように思える。

無理矢理に意味と結果を持たせるなんて馬鹿のやることだ。

何より称賛が欲しい馬鹿だ。

そんな馬鹿が世の中には多すぎる。

そしてそれは決して悪い事では無いのだから人間は憎らしく思えてしまう。

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おわり。半分くらい僕の事です。