fanlight
人が歩いているのを見てまた気持ちが悪くなる。
「この人たちもどうせ何処か汚れていて、過去や未来で誰かを裏切って捨てて、そのくせ一人で反省なんていう慰めに頼ってまた、こんな平気な顔をして生きていくんだ」なんてことを考える。
この軽蔑をどうにか言葉に出来ないかと思っても、まだ足りない。言葉では足りない。
反省なんてしても救われるのは自分だけで、誰かに負わせた傷が治る訳でもないのに。
ただ卑怯な人たちだ。いまは誰のことも許せない。
自己否定は自殺的だ。
自己否定が自己否定そのものを否定してしまうから。もう救われない。
これらを信じたらまた自分に傷が増えるだけだ。
そう思いながらも、話しかけられると笑いかけてしまう弱い心。
家に帰って死にたくなる。救いがない。途方も無く。
手をつないでいた。
で、それは突然切られてしまった。
僕の手首のところで切られた。
あの子は死んだ僕の手を振り払って捨てる。どこかに行ってしまう。
僕は手を失くした。もう誰かを愛するとか、そういうのは無理だと思う。
失ったものが平等ではない、それが心の底から憎らしい。
こんな恨みをもったことが今まで無かったから本当に疲れている。
許したい。擁護できないかとずっと考えた。けど、どうやら無理らしい。
死んでしまうまで許せそうにない。
「どうしてそんなこと気にしてんの」
そう言われ続けている気がする。
ただ人が恐ろしくて、寂しくて、近寄れない。
たぶん誰も分からない。
分かってしまったら殺してしまえるくらいの大きな憎悪を抱えている。