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 ぼうっとしていたわけでも、逆に何かを必死に頑張っていたわけでもないのに、いつの間にか結構な時間が経っていた。過ぎるその日々のことを自覚してはいたので、「いつの間にか」というのはちょっと違うかもしれない。ただ振り返って見ると空っぽの暮らしだけが残っている。人に話せることは何も無い。あるいは、隠したいことばかりだった。日記のように素朴なものを書こうとする時でさえ、まずそんな現状を直視する必要があった。

 

 良くも悪くも、自己表現への欲求が年々薄くなってきたような気がする。長い文章を書くとか、創作に打ち込むとか、そういう行いに対するモチベーションがほとんど消えていた。もう長いこと、自分はこういう人間ですと主張する必要が無いくらいには、互いに気心の知れた人間としか関わってこなかったから。創作に関して言えば、「目にもの見せてやる」という態度でやっていくことに漠然と不満があった。「創作で殴る」という言い回しが存在した。そういう雰囲気のコミュニティに居ることが苦しくなったこともある。攻撃欲求や自己憐憫のためじゃなく、言葉や風景そのものへの憧れに駆動された作品を書きたかったし、なるべくそういうものだけを見ていたいと思う。もしこれから何かを書くとしても、その基準をクリアしなきゃ納得できないだろう。

 

 今後ここに近況を書き残すことがあるかどうかは分からない(もう無いと思って1年以上放置していた)。このあとは、すっかり廃墟と化したページをこっそり非公開にする日が来るのを待つだけなのかもしれない。